« 犬神家の一族 | メイン | サイドカーに犬 »

2009年10月20日

びっき


「びっき」とは秋田の湯沢あたりでは「カエル」のことなんである。
ややこしいのは秋田の北の方へ行くと「びっき」は「赤ちゃん」だったりする。
で、ビッキーズ、この場合多分カエルのことなのだが、カエル=ビッキとは全国的にどうよ?と当時も思ったものだ。
作者の石ノ森章太郎氏、宮城県出身とのことだが。

さて、カエルを踏んづけてしまった。
踏んづけた瞬間、小さく「パン」と音がした。
ゼリーを塗りたくった小さな風船を踏んづけた気がした。
すぐに振り返ってその右足元を確かめた僕は、すぐにカエルを踏んづけたことに気づいた。
Vの字形をした黒い物両方側に水かきのついた小さな手。
僕はすぐに見なかったことにして、先を急いだ。
その間、多分、1秒くらい。
しかし一日、、右足には「ズル」っとすべった質感と、膝から下にざわざわとした感触が残った。

2度目だと思った。
まだ小学校へ上がる前、小川で遊んでいた僕は、やっぱり足元のそれに気づかずに踏みつけてしまったのだ。
音は覚えていないが、あのとき感じたのも「ズル」っという質感だった。
ものすごく晴れていた。
太陽を反射した小川からの鋭い光線が眩しかった。
そのときも、僕は無かったことにしたかった。
紐なしのズックの底と地面の間には、錆びた鉄色に似た体液が漏れていた。

今日、そのカエルがまだ僕に踏んづけられた場所にいた。
ただ今日は裏返しになって、青い腹を見せていた。
軽く地面から浮いた体は、まだ完全に乾ききっていないようだ。
丸一日経ってもそこにいるなんて。
猫やカラスだったらこうはいかないだろうと思った。

投稿者 Wataru : 2009年10月20日 23:49

コメント

コメントしてください




保存しますか?